御嵩町小和沢地区を適地と認める理由について

 御嵩町小和沢地区に計画されている産業廃棄物処理施設(以下「計画施設」という。)は、寿和工業株式会社(以下「事業者」という。)が、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処埋法」という。)及び岐阜県土地開発指導要綱などの開発手続きに従い、適正に立地しようとしているものです。
 一般に、工場立地や住宅団地の開発と同様に、産業廃棄物処理施設の設置についても、現在の社会システムの下では事業者自らの判断で立地を決定することになっており、当地における開発が適法に行われている以上、県等の行政庁は、その立地を前提として審査することになります。

 業者の判断で立地を決定ということですが産廃処理場のような施設の場所を業者主導で決めてもよいのでしょうか。
 県として適地と認めているのでしょうか。
 「適正」、「適法」に立地されようとしているのでしようか。
 産廃処理場の立地を工場立地や住宅団地の開発と同列に考えてよいのでしようか。
 御嵩町は戦中から戦後にかけて「亜炭の町」として、亜炭の採掘がおこなわれ、現在、その廃坑跡が全町平地面積の30%にひろがっています。しばしば落盤がおきるほか、大きな建造物をつくる場合、適地を探すにも難しいほどです。
 つまリ、御嵩町には大きな「負の遺産」があるのですが、産廃処理場が将来また「負の遺産」になる心配はないのでしょうか。

 現計画地は、当初事業者である寿和工業株式会社が適地として選定したものであリますが、今後、県が事業主体としてかかわることによリ、住民の方々の安心感、信頼感を得るため、どこにつくっても問題のない施設として安全性を確保し、その適正な履行を保障します。



 客観的・公正・信頼性ある環境アセスメントの必要牲について

 環境アセスメントは事業者自らが行うものであり地方公共団体が事業者に代わって環境アセスメントを実施する仕組みになっていません。
 なお、事業者は県の「岐阜県産業廃棄物の適正処理に関する指導要綱」(以下「産廃指導要網」という。)に基づき環境影響調査を平成6年6月に実施しています。

 大規模開発をする前に、開発が周辺の環境にどんな影響を及ぼすかを調べる環境アセスメントは、当然なことながら客観性、信頼性が求められます。業者がおこなった環境アセスメントが一般に客観性、信頼性を考えられるでしょうか。
 また、業者がおこなったという環境アセスメントは十分なものなのでしようか。

 事業者はあらかじめ、県の産廃指導要網に基づき環境影響調査を実施していますが、専門家の意見を聞きながら、必要があれば、さらに調査を行います。
 なお、環境影響評価報告書は産廃指導要綱では県への提出が必要とされておリませんが、事業者から自主的に提出があリ関係課へ配布しております。



 水源との関係について

 水道等の水源の水質の安全性確保については、ご指摘を待つまでもなく、上流県として十分配慮すべきことと考えておリ、これまでも実施してきています。
 産業廃棄物処理施設の放流水の水質については、廃棄物処理法第15条第2項第1号の規定(注1)による「一般廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令」において、排水基準を定める総理府令(昭和46年総理府令第35号)第1条に規定する排水基準に適合させることができる浸出液処理設備(注2)を設け、その排水基準に適合することとなるように維持管理することとされていますが、県としては、産廃指導要網により、その排水基準よりさらに厳しい放流水維持管理目標値を設定(注3)し、産業廃棄物処理事業者を強力に指導し、公共用水域の水質保全の確保を図っています。

イ 産廃指導要綱所定の放流水維持管理目標値は、罰則をもって強制するものではありませんが、事業者が計画している浸出液処理施設の構造・処理方式及び事業者のこれまでの実績から見て、事業者は、産廃指導要綱所定の放流水維持管理目標値に関する県の指導を遵守できるものと考えます。
 なお、事業者が計画する放流水質の遵守の担保等については、貴町と事業者との公害防止協定に盛り込むよう指導していきます。

 御嵩町の処理場計画の場合、いちばん心配されているのは場所が水源地に隣接していることで、水質汚染の問題です。
 各地の例からみても、「基準があるから大丈夫」だけでは安全の担保にはなリません。
 科学的データに基づく対策、下流地域の住民をふくめて納得できる保障が必要ではないでしようか。

 水道水源の水質の安全性確保については、御指摘を待つまでもなく上流県として十分配慮すべきことと考えております。
 産業廃棄物処埋施設の放流水の水質については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という)の規定に基づき排水基準が定められておりますが、県としては、産廃指導要綱によりその排水基準よりさらに厳しい放流水維持管理目標を設定し、産業廃棄物処理業者を強力に指導し、公共用水域の水質保全の確保を図っております。県が事業主体としてかかわることにより、この目標値を遵守することを保障します。



 国定公園地域との関連について

 計画施設が設置される区域は、自然公園法第17条第3項(県知事の許可)の申請によれば、その一部が飛騨木曽川国定公園の第二種特別地域(注4)に該当します。県としては、環境庁の定めている審査指針に従い、厳正に審査しています。

 県の審査を見守っていきたいところです。

 現計画では水処埋施設や洪水調整池を自然公園の第二種特別地域内につくることとなっておりますが、当該区域にかからないよう計画変更します。



 首都移転誘致構想との関連について

 首都移転誘致構想等と産業廃棄物処理施設設置計画とは、直接的な関係はないと考えます。

 「東京から東濃へ」という県の首都誘致構想は夢のある計画です。御嵩町もその構想の「中核区域」に入りました。
 新首都の候補地に巨大な産廃処理場は似つかわしいものか、どうでしょうか。

 首都機能移転誘致構想等と関係なく、地域と調和した産業廃棄物処理施設設置計画とします。
なお、東京都では産業廃棄物最終処分量のわずか24.7%しか都内で処理できず、残りは他県に依存している状況にあリます。
本県におきましては、自己完結の趣旨に則って、そのようなことのないよう配慮すべきであると考えております。